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左官道具紹介

職人たちの経験と技から生まれた多様な鏝は、職人の姿そのものだ。職人ひとりに個性があるように、こてにもさまざまな顔がある。ここでは左官仕事の主な道具を紹介する。

塗り付け鏝
形が大きいので塗り付け全般にわたって使用。個人の好みによって鏝の堅さが変わる。
中塗り鏝
荒壁または中塗り用。関西のものは製造のときにできる鎚目が表裏両面にあらわれているが、関東のものは両面とも磨きあげられている。
煉瓦鏝
煉瓦積みの場合にトロをすくったり、煉瓦を割るのに使用。左官工事では材料をすくうのにも使用。
押え鏝
壁を押さえたり、波をとったりする。堅いものから柔らかいものまで多種多様である。
くり鏝
三方入り隅に使用する。丸面のみで角面のものはない。
柳葉鏝
柳刃とも書く。切り付け部分や幅の狭い壁を塗るのに好適である。
鶴首鏝
鶴のような首からこの名がついた。彫刻など細かい仕事をするときに活躍する。
蛇腹鏝
洋式建築全盛期、蛇腹を引くために考えられた鏝。多くの場合、型引きの台を作り、特別に注文する。
ハネ付面つき鏝
三方入り隅に使用する。丸面のみで角面のものはない。
切り付け鏝
切り付け仕上げに使用。形に直角、鋭角、丸形がある。
中首ハネ付面つき鏝
鏝が長く中首なので、長い距離を引くのに都合がよい。主に野丁場仕事で使用。長さが三十センチを越えるものもある。
墨つぼ
日本特有の道具。大工と同じ墨色を使用するが、木部には朱色を使用する。
ちりほうき
壁ちりの掃除に使用するもの。むかしは職人自ら使い易いように穂先を調節した。
墨さし
左官作業を行なう前の墨出しをするための竹製の筆の一種。墨を付けるのに用いられる。
下げ振り
柱、出角、壁面の凹凸の垂直を測る。大工のものと同様。
鏝板、ブラシ
鏝板:塗り付け作業に不可欠の工具。塗り材を受け、用途に応じて鏝板の大きさが変わる。むかしは羽子板型だった。
ブラシ:人造石洗い出し、人造研ぎ出しなどのあま取り、水湿しや道具の掃除などに使用される。
さし金
各種寸法を測る他、梁・柱・巾木等の直角測定にも用いる。
パワートロウェル
機械鏝。戦後、ヨーロッパから入ってきた機械鏝を日本風にアレンジしたもの。建築ラッシュに大いに貢献した。現在も使用されている。
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